◆ 生地組織
ここでは生地の組織について図解を交えながら、説明します。
金襴は縦の糸(経糸)と横の糸(緯糸)とが絡み合いながら布地を形成しています。 用途や目的によって、絡ませ方を微妙に変えて生地の風合いを調整することが 出来ます。
その一つ、生地組織の種類を説明します。
下の図は経糸と緯糸が生地組織を形成した拡大のイメージ図です。
二色の細い線はそれぞれ経糸と緯糸を表しています。
畦地(あぜじ)
「畦」の語源は、きちんと区画整理されたたんぼの「畦道」です。
経糸と緯糸が順番に一本づつ交差して生地を形成しています。
糸同士が細かく絡み合っているのでほつけにくく、しっかりとした風合いになりますが、あまり金襴には使われません。
お衣などの「塩瀬地」はこの組織です。
錦地(にしきじ)
経糸が生地の表に出るときだけふたつとばして緯糸間に潜り込む織り方です。
緞子地に比べて生地がしっかりしているので堅地(かたじ)とも呼ばれています。昔話などで「金、銀、財宝、錦…」などという表現がありますが、この場合の「錦」はきらびやかな極彩色の織物を言ったんでしょう。
錦地は細かく裁断して仕立てる用途向きです。
当店では輪袈裟などはこの織り方が多いです。
綾地(あやじ)
経糸が緯糸を三本飛び越して生地を形成する織り方です。
この織り方は金襴の無地場に斜めに筋が入ったようになるので、ほんど使用されません。
打敷の裏生地に使用する、木綿地などはこの織り方です。
緞子地(どんすじ)
朱子地(しゅすじ)とも呼びます。経糸が緯糸を四本飛び越して五本目の緯糸に潜り込むことから、五枚朱子(ごまいじゅす)とも呼びます。
経糸の渡りが大きく自由になるので生地はしな柔らかく、無地場の光沢が良いのが特徴です。
当店ではこの組織で織った金襴が一番多いです。
ただ、細かく裁断したときに裁断面がほつれやすいのが、欠点です。当店ではその欠点を補うために、経混みを多く(経糸の本数を多くすることです)したり、横を詰めて織るようにしています。
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